主観的な内容ばかりなので閲覧注意です。どうでもいいことも多く書いてます。
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まだまだつづくよ
目が覚めると部屋に戻っていた。何事かと思って起き上がろうとすると、何故か体が動かない。いや、動くには動くのだが、物凄くだるい。転がって移動するので精一杯だった。しかし枕元にご丁寧に携帯とウィダーインゼリーが2つ、おいてあった。どちらもマスカット味だ。そして縦に長い癖のある字で、「起きたら電話をかけろ」と殴り書きがされてある。孫市、と名が書かれてあったので、とりあえずゼリーを銜えながら電話をかける。腕に力が入らないので蓋を開けるのでさえ精一杯だった。
3コール目で電話が繋がった。「具合はどうだ」と開口一番に聞いてくる。いや、だるい程度だけどよ、と口ごもりながら、麻痺した頭を整理するために記憶をひっくり返す。
「なんで俺、部屋にっつーか・・・・・・夜中に家康に会った気がするんだが、ありゃ夢か?」
「いや、夢じゃない。とりあえず今から迎えに行くから着替えと出かける準備を済ませておけ。車は私が回す」
「はぁ?」
問答無用に電話が切られた。夢じゃない、と言っていたが、つまり夜中に家康に会って、そしてその後どうなって、何故部屋に戻っているのかという話だ。一先ず、孫市に怒鳴られぬようゼリーを胃に流し込み、風呂と着替えを済ませた。孫市が来る間には普通に歩けるようにまで回復していたので、駐車場までは一人で向かえた。
車に乗り込むと、孫市はすぐにどこかへ向けて走り出した。どこに行くんだと問えば、政宗の所だと短く答える。
「政宗? なんで」
「話はそこでする。その前に、元親、貴様ニュースは見たか?」
「見るわけねーだろ。そんな暇無かったっつーの」
「情報は何にも勝る武器だと何度も言っているというのに・・・まぁいい。どうせ政宗はニュースは全て録画しているだろう」
どういうことだ、と元親が聞くのも無視し、孫市はアクセルを踏み込んだ。昼時だというのに何故か人通りが少ない。走っている車も何故かあまり見受けられなかった。
政宗の所、といってもそこは寮ではなく、政宗の家の方だった。極道の家だと聞いていたが、そのような強面のお兄さんやらは今日は姿が見えない。数人が孫市を見つけて、姐さん、と声を掛ける。姐さんて。つっこみを入れようかと思ったがやめた。
孫市は慣れたように奥に入っていく。日本家屋の屋敷だ。池には鯉まで泳いでいて、元親は慶次を連れてきたいな、と思った。この空気をぶち壊してくれるかもしれない。後ろをついてくるスーツの男が怖くてどうしようもなかった。
「政宗」
孫市が襖を開けて入った先で、政宗は布団に寝ていた。よお、と手を上げて、横に控えていた小十郎がその身体を支えながら起き上がらせる。ぎょっと元親はその姿を見た。体のいたるところに包帯が巻かれており、小袖を着ているがまるっきり病人だ。病院に行った方がいいのではないかと思う。
「おめーはたいしたこと無さそうだな、元親」
「ああ、っつーかどうしたんだよお前・・・何があった?」
「ニュース見てねぇのか」
政宗は手で控えている男に合図をしてテレビをつけさせた。座敷に不釣合いな高そうな薄型テレビに、今の時間とは違う時間帯の表示されている画面が映された。朝のニュースのようだ。何度か見たことのあるニュースキャスターが速報です、と手渡されたばかりの紙を読みながら早口で喋る。『昨晩から連続通り魔が次々と人を襲っており・・・・・・』その横で暗闇をつっきる白髪の男の影が一瞬映される映像が回っていた。
「・・・・・・まさか」
「そう。家康だ。俺もこの通りやられちまった」
「お前も襲われていただろう。そのとき丁度通りかかった私が車に乗ったまま近づいたら、猫のように飛んで逃げてしまったがな。その後お前を車に乗せて、お前の部屋に運んでおいた」
何が起こっているのか理解が及ばず、元親はおいおいちょっと待て、と二人の喋るのを止める。家康が人を襲っている、という時点で意味がわからない。そうだ、昨日会った家康は、髪が、耳が、真っ白になっていた。
「・・・・・・と、取り憑かれたってこと、なのか」
「その通りだ」
思いいたることはそれしかない。南部のおっさんと鶴姫にはもう話は通してる、と政宗は言った。
「聞いた話じゃ、家康が取り憑かれてるっつー障り猫は、ストレスを原因に発生する怪異って奴らしい。あの猫は今、家康のストレスを解消するために、人を襲って、人から精気を吸い取ってるらしいぜ。俺もそのせいで立ち上がれやしねぇ」
「ストレス? あいつにストレスって」
「あるだろうな。溜まるに溜まった、400年前からのものが」
「・・・・・・」
お前も吸われてる筈なんだが、よく元気だな、と改めて孫市はしげしげと元親を観察する。元気だけがとりえなんでね、と軽口を叩くと、小十郎が録画したニュースを消した。昼のニュースです、と今放送されている番組が始まるが、それでもニュースでは元親たちの住む街での連続通り魔の話で持ちきりだ。
「幸い、死人や病院に入れられる奴は出てねぇ。家康の精神は化物に乗っ取られてる筈なんだが、だいたいの奴は気絶や疲労を訴える程度だ。早いうちにとっ捕まえて、巫女に引き渡した方がいい」
「猫は夜行性だからだいたいの被害は夜に出る。多分昼間じゃ中々見つけられねぇだろう」
「どうやって見つけるんだよ」
ちったぁ考えな、と政宗は吐き捨て、俺の見立てじゃ、豊臣が怪しいな、と答えた。
「ストレス発散だからな。あの時代からのストレスが溜まってるなら、豊臣辺りが狙われてもおかしかねぇ」
「真田や前田も怪しいな」
「あ? なんでだよ」
孫市は元親を呆れたように見やり、「貴様は本当に何も見ていないのだな」と馬鹿にする調子で呟いた。
「・・・・・・」
「一先ず、学校の連中は私がなんとかしよう。仲間に連絡をとる。政宗、お前は情報を集めてくれ。どこに現れるか検討がつくかもしれん」
「OK. わかったぜ」
「元親、お前は栄養のあるものを食べて、夜まで寝ていろ。家康捜索に手を貸してもらう」
「言われなくてもやるっつーの」
なんで孫市が仕切ってんだ、と元親は呟きながら立ち上がる。家に一旦帰るという孫市の誘いを断り、元親は政宗からバイクを借りて一人で帰ることにした。踏み切りを渡りながら、いや、そうだ、しかし、と思いとどまる。一度家康の寮の部屋に行ってみよう。ついでに風魔に会いに行って、財布だけでも返してもらわなければ。
3コール目で電話が繋がった。「具合はどうだ」と開口一番に聞いてくる。いや、だるい程度だけどよ、と口ごもりながら、麻痺した頭を整理するために記憶をひっくり返す。
「なんで俺、部屋にっつーか・・・・・・夜中に家康に会った気がするんだが、ありゃ夢か?」
「いや、夢じゃない。とりあえず今から迎えに行くから着替えと出かける準備を済ませておけ。車は私が回す」
「はぁ?」
問答無用に電話が切られた。夢じゃない、と言っていたが、つまり夜中に家康に会って、そしてその後どうなって、何故部屋に戻っているのかという話だ。一先ず、孫市に怒鳴られぬようゼリーを胃に流し込み、風呂と着替えを済ませた。孫市が来る間には普通に歩けるようにまで回復していたので、駐車場までは一人で向かえた。
車に乗り込むと、孫市はすぐにどこかへ向けて走り出した。どこに行くんだと問えば、政宗の所だと短く答える。
「政宗? なんで」
「話はそこでする。その前に、元親、貴様ニュースは見たか?」
「見るわけねーだろ。そんな暇無かったっつーの」
「情報は何にも勝る武器だと何度も言っているというのに・・・まぁいい。どうせ政宗はニュースは全て録画しているだろう」
どういうことだ、と元親が聞くのも無視し、孫市はアクセルを踏み込んだ。昼時だというのに何故か人通りが少ない。走っている車も何故かあまり見受けられなかった。
政宗の所、といってもそこは寮ではなく、政宗の家の方だった。極道の家だと聞いていたが、そのような強面のお兄さんやらは今日は姿が見えない。数人が孫市を見つけて、姐さん、と声を掛ける。姐さんて。つっこみを入れようかと思ったがやめた。
孫市は慣れたように奥に入っていく。日本家屋の屋敷だ。池には鯉まで泳いでいて、元親は慶次を連れてきたいな、と思った。この空気をぶち壊してくれるかもしれない。後ろをついてくるスーツの男が怖くてどうしようもなかった。
「政宗」
孫市が襖を開けて入った先で、政宗は布団に寝ていた。よお、と手を上げて、横に控えていた小十郎がその身体を支えながら起き上がらせる。ぎょっと元親はその姿を見た。体のいたるところに包帯が巻かれており、小袖を着ているがまるっきり病人だ。病院に行った方がいいのではないかと思う。
「おめーはたいしたこと無さそうだな、元親」
「ああ、っつーかどうしたんだよお前・・・何があった?」
「ニュース見てねぇのか」
政宗は手で控えている男に合図をしてテレビをつけさせた。座敷に不釣合いな高そうな薄型テレビに、今の時間とは違う時間帯の表示されている画面が映された。朝のニュースのようだ。何度か見たことのあるニュースキャスターが速報です、と手渡されたばかりの紙を読みながら早口で喋る。『昨晩から連続通り魔が次々と人を襲っており・・・・・・』その横で暗闇をつっきる白髪の男の影が一瞬映される映像が回っていた。
「・・・・・・まさか」
「そう。家康だ。俺もこの通りやられちまった」
「お前も襲われていただろう。そのとき丁度通りかかった私が車に乗ったまま近づいたら、猫のように飛んで逃げてしまったがな。その後お前を車に乗せて、お前の部屋に運んでおいた」
何が起こっているのか理解が及ばず、元親はおいおいちょっと待て、と二人の喋るのを止める。家康が人を襲っている、という時点で意味がわからない。そうだ、昨日会った家康は、髪が、耳が、真っ白になっていた。
「・・・・・・と、取り憑かれたってこと、なのか」
「その通りだ」
思いいたることはそれしかない。南部のおっさんと鶴姫にはもう話は通してる、と政宗は言った。
「聞いた話じゃ、家康が取り憑かれてるっつー障り猫は、ストレスを原因に発生する怪異って奴らしい。あの猫は今、家康のストレスを解消するために、人を襲って、人から精気を吸い取ってるらしいぜ。俺もそのせいで立ち上がれやしねぇ」
「ストレス? あいつにストレスって」
「あるだろうな。溜まるに溜まった、400年前からのものが」
「・・・・・・」
お前も吸われてる筈なんだが、よく元気だな、と改めて孫市はしげしげと元親を観察する。元気だけがとりえなんでね、と軽口を叩くと、小十郎が録画したニュースを消した。昼のニュースです、と今放送されている番組が始まるが、それでもニュースでは元親たちの住む街での連続通り魔の話で持ちきりだ。
「幸い、死人や病院に入れられる奴は出てねぇ。家康の精神は化物に乗っ取られてる筈なんだが、だいたいの奴は気絶や疲労を訴える程度だ。早いうちにとっ捕まえて、巫女に引き渡した方がいい」
「猫は夜行性だからだいたいの被害は夜に出る。多分昼間じゃ中々見つけられねぇだろう」
「どうやって見つけるんだよ」
ちったぁ考えな、と政宗は吐き捨て、俺の見立てじゃ、豊臣が怪しいな、と答えた。
「ストレス発散だからな。あの時代からのストレスが溜まってるなら、豊臣辺りが狙われてもおかしかねぇ」
「真田や前田も怪しいな」
「あ? なんでだよ」
孫市は元親を呆れたように見やり、「貴様は本当に何も見ていないのだな」と馬鹿にする調子で呟いた。
「・・・・・・」
「一先ず、学校の連中は私がなんとかしよう。仲間に連絡をとる。政宗、お前は情報を集めてくれ。どこに現れるか検討がつくかもしれん」
「OK. わかったぜ」
「元親、お前は栄養のあるものを食べて、夜まで寝ていろ。家康捜索に手を貸してもらう」
「言われなくてもやるっつーの」
なんで孫市が仕切ってんだ、と元親は呟きながら立ち上がる。家に一旦帰るという孫市の誘いを断り、元親は政宗からバイクを借りて一人で帰ることにした。踏み切りを渡りながら、いや、そうだ、しかし、と思いとどまる。一度家康の寮の部屋に行ってみよう。ついでに風魔に会いに行って、財布だけでも返してもらわなければ。
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